不況が長引く中、パチンコがらみの事件が増えていますが?

 不況になるとパチンコが流行るそうです。なぜか富裕層ではなく、お金に余裕のない人たちの方がのめり込み、借金をしてまでパチンコ店に通うようになります。サラ金から借金をしてパチンコにつぎ込み、借金を返せなくなって自殺するという悲惨な事件も増えています。

「パチンコ依存症」になると職場を解雇されたり、家庭が崩壊することすらあります。例えばパチンコ代をくれないという理由で息子が母親を殺す、負けたといってパチンコ店を恨んで放火する、子供の給食費を使ってしまう、パチンコに負けて母親が子供を虐待する…このような信じられない事件が実際に起きています。これらは一部の特殊な事例ではありません。社会的な弱者がパチンコのターゲットになって人生を狂わせる構図ができているからです。

パチンコは脱税の温床、とも言われています。『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』(祥伝社新書)の著者、若宮健氏は日本のパチンコの現状を「たった数千人の利益のために数百万人を泣かせて、21兆円が闇に消えている」と指摘しています。そのような実態を知っていながら何も手を打たないどころか警察や政治家、マスコミは業界をむしろ擁護し、その恩恵にあずかっているのです。パチンコ問題は現代日本社会の縮図と言えるでしょう。

庶民の楽しみとしてパチンコぐらいは許されるべきではありませんか? 

 今のパチンコは果たして庶民の楽しみと言えるのでしょうか? 確かに昭和30年代ぐらいまで、パチンコは庶民の健全な娯楽でした。当時のパチンコ店には椅子がありませんでした。椅子があるとつい長時間やってしまい、労働意欲の低下につながるという理由で椅子を置かなかったのです。当時の政治家はまだまともな感覚を持っていました。もちろん換金もできませんでした。本来、違法であるにもかかわらず換金ができるようになったのは1992年頃、バブル時代からです。今ではなんとATMがパチンコ店の中に設置されています。賭博場に現金引き出し機を置いて国民をパチンコ漬けにする国がまともな国と言えるのでしょうか?

昔のパチンコはわずかな小遣いで楽しめるものでした。短時間打って楽しみ、景品をもらう遊びでした。景品のお菓子や缶詰を家に持って帰れば、家族も喜んだでしょう。しかし、今のパチンコはそのような平和で牧歌的な時代のものとは明らかに違います。負ける金額も1回最低5万円と言われています。

パチンコを様変わりさせたのは技術の進歩とコンピューターの導入です。メーカーはパチンコ台にさまざまな仕掛けをしています。ある一人のお客がどの台を好み、どれぐらい勝ったか、どれぐらい負けたか、把握しているパチンコ店もあると言われています。もちろん仕掛けはお客には分からないようになっています。パチンコ台の進歩によってお客は以前よりもはるかにパチンコにのめり込み、止めたくても止められなくなってしまうのです。

韓国ではパチンコを全廃したそうですね?

韓国でも一時はパチンコが盛んでした。認可を受けた店だけで1万5千軒、無許可の店も含めれば全国に2万軒のパチンコ店があったそうです。日本のパチンコ店経営者は在日韓国・朝鮮人が多いので、その関係で韓国でもパチンコが盛んだと誤解している人がいますが、そうではありません。反日的な雰囲気がある韓国では日本式の玉をはじくパチンコ台は最初から許可されませんでした。韓国人が日本の中古パチンコ台を輸入して、韓国仕様に改造して開業したのです。韓国ではパチンコは「メダルチギ」と呼ばれています。

しかし韓国でもパチンコの被害が深刻で、社会問題になりました。もともと韓国人は派手に遊ぶタイプが多いので過熱ぶりも日本人よりも激しく、被害も甚大でした。2006年、「海物語(パダイヤギ)事件」が起きました。1回の当たり限度額が2万ウォン(約2千円)と決められていたにもかかわらず、数百万ウォン当たるように台を改造した業者が摘発されたのです。さらに、そのような改造機械の許認可に当時の大統領やその甥や側近が関係していたことが明らかになり、贈収賄事件に発展してしまいました。

韓国のマスコミはこの事件を徹底的に糾弾しました。当時の韓明淑(ハン・ミョンスク)首相は「メダルチギ」を野放しにしてきたことに対して国民に謝罪談話を発表しています。パチンコを批判する世論が沸騰し、ついに全廃されたのです。しかし日本のマスコミは、韓国のパチンコが全廃されたことを報じませんでした。なぜなのでしょうか?

女性がパチンコ依存症になりやすいのはなぜですか?

 主婦や年金生活者の「パチンコ依存症」が社会問題になっています。「パチンコ依存症」は全国で約100万人と言われていますが、巻き添えになる家族も含めれば200万人ぐらいが苦しんでいるのではないでしょうか?
女性がパチンコにのめり込むのはギャンブル経験が男性に比べて少ないからでしょう。男性の場合はたいてい学生時代、サークルの仲間や先輩の誘いなどで麻雀、花札などを経験して、ある程度免疫があります。女性にとって賭博は未知の世界なので、その分スリリングで魅力を感じるのでしょう。パチンコ店も女性客を意識して店内をきれいにしたり可愛らしいキャラクターを使った台を置いたりしています。

女性が「パチンコ依存症」になると身なりに構わなくなる、と言われています。買い物やグルメ、旅行などにも興味がなくなり、ひたすらパチンコにお金をつぎ込むようになるそうです。機械の性能も上がっているので、最初は軽い気持ちで始めてもいつの間にか虜(とりこ)になっているのです。

2010年6月18日から施行された「改正貸金業法」によって主婦に対する融資が厳しくなりました。融資を受ける際には夫の同意書や年収証明を出すことが義務づけられたので、消費者金融大手は事務手続きの煩わしさを嫌って主婦への融資自体を中止する方針です。ところが金融庁は6月11日、「当面の資金繰りに困る顧客を支援するため」と称して3カ月返済を条件として最大10万円を融資する「特別緊急貸付」を実施するように消費者金融各社に求めました。しかし、たった10万円で何の役に立つのでしょうか? 金融庁の役人はあまりにも実態を知らないと言わざるを得ません。役人の無能、無策によって闇金融に走る主婦が増えないか、心配になります。

パチンコ店経営者には在日朝鮮人が多いというのは本当ですか?

本当です。パチンコ店経営者の8割は在日韓国・朝鮮人で、残り2割が日本人と台湾人、と言われています。なかでも在日朝鮮人の割合が高いです。北朝鮮の出先機関である「朝鮮総連」は約20店舗の直営店を持っています。ニューヨークの新聞に、日本のパチンコマネーが北朝鮮に送金されてミサイルや核開発に使われている、と報じられたことがありました。バブル時代には年間40億ドル、日本円で約600億円が北朝鮮に送金されたと言われています。今は年間30億ドルぐらいに減ったそうですが、それでも決して少なくない額です。拉致問題がいっこうに解決しないにもかかわらず相変わらず北朝鮮へ送金がされていることも不思議ですが、それを支えているのが庶民のパチンコにつぎ込むお金なのだという事実を日本人は認識すべきでしょう。

北朝鮮系に比べれば少ないとはいえ、在日韓国人の中にもパチンコ業界に関わる人は少なくありません。「在日本大韓民国民団」、略して「民団」傘下の在日韓国商工会議所約1万社のうち70%がパチンコ産業に関わっていると言われています。2008年、韓国で李明博(イ・ミョンバク)が大統領に当選した時、民団の代表者がお祝いに駆け付けました。その時、大統領に「地方参政権の付与」と「パチンコ産業に対する規制緩和」を民主党の小沢一郎氏に頼んでほしい、と言ったそうです。それに応えて2008年2月21日、李明博大統領は訪韓した小沢氏に「パチンコ産業の規制強化のせいで在日同胞が苦しんでいる」と言ったそうです。パチンコを禁止した国の大統領が日本にはパチンコの規制緩和を働きかけるというのは何とも矛盾した話です。

違法な賭博であるパチンコのCMをマスコミが流すのはおかしいのではありませんか?

 テレビや新聞、ラジオがパチンコという賭博の広告に手を染めるようになったのはいつ頃からなのでしょうか? パチンコ店経営者が芸能人と結婚し、その6億円の豪華挙式をマスコミが持てはやすのを見ると、怒りを通りこして悲しくなります。亡くなった石原裕次郎がパチンコCMに登場したのを見て失望した裕次郎ファンも多かったのではないでしょうか? 横綱の白鵬もパチンコ店のイベントに出ているそうですが、社会的責任を自覚しているのでしょうか?

2006年3月に読売新聞が初めてパチンコの全面広告を載せたのに続いて8月22日、朝日新聞も朝刊にパチンコの全面広告を載せています。それまで風俗、ギャンブル、アダルト関係の広告は自主規制していた大新聞がパチンコの広告を載せた理由は広告料が欲しいからです。三大紙の場合、1ページをまるまる使う全面広告は最高でなんと4千万円とも言われています。パチンコ台メーカーやパチンコ店にしてみれば新聞に広告を掲載してもさほど効果はないかも知れませんが、それによって新聞のパチンコ批判を封じることができるというメリットがあるのです。新聞記者の中には正義感のある人ももちろんいます。しかし、パチンコを批判する記事を書いても上司にボツにされるそうです。

マスコミにパチンコ広告の話を持ち込んだのは「電通」だそうです。「電通」は広告に頼るマスコミにとっては神様のような存在、と言われています。不況で広告収入が減る中、マスコミも台所事情が苦しいのでしょう。しかし韓国のパチンコはマスコミの糾弾によって世論が喚起され、全廃になったのです。残念ながら韓国のマスコミは日本のマスコミに比べればはるかに社会的使命を自覚していると言えるでしょう。

先進国でカジノが合法化されていないのは日本だけだそうですが?

確かにそうですが、そんなことで先進国になる必要はありません。欧米にはパチンコのようなインチキ賭博はありません。賭博は八百長がないことを前提に成り立つものですがパチンコは事実上、八百長だし、依存症になりやすいし、街の中心に賭博場が堂々とあることも問題です。日本にはパチンコ以外にも競馬、競輪、ボート、宝くじ、サッカーくじなどがあり、今でも賭博場が多すぎるぐらいです。

2010年4月14日の産経新聞に「パチンコ換金合法化検討」という驚くべき記事が載りました。これによると「カジノ合法化法案」成立をめざしている超党派の「国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)」はカジノを合法化するどさくさ紛れにパチンコの換金も合法化しようとしているようです。カジノ議連の案では、カジノやパチンコを国や地方公共団体が厳格に管理・監督するそうですが、パチンコ業界は素人が管理できるような世界ではありません。今、パチンコは警察の管理下にありますから業界もまだ歯止めがかかっていますが、警察の管理を離れたら業界のやりたい放題になるでしょう。

パチンコ業者数十社で構成される「パチンコチェーンストア協会(PCSA)」という団体があります。ここのアドバイザーに多くの国会議員が名を連ねています。民主党は海江田万里、山岡賢次、樋高剛、石井一など党の中枢部にいる議員も含めて37名でもっとも多く、しかも赤松広隆、山田正彦、鹿野道彦という3人の農林水産省大臣がすべて入っています。パチンコ業界は農林水産省と何らかの癒着があるのでしょうか? 自民党は中川秀直、野田聖子、後藤田正純など10名、公明党も10名、無所属でなぜか鳩山邦夫も名を連ねています。彼らはパチンコ業界の用心棒と言えるでしょう。

警察はパチンコ業界と癒着していると言われていますが?

パチンコ問題の根っこには警察の問題があると言っても言い過ぎではありません。パチンコ店が違法な換金ができるのも脱税ができるのも、警察がきちんと取り締まっていないからです。きちんと取り締まれない理由は警察官僚がパチンコ業界の関連団体に天下っているからです。パチンコ業界には組合や協会と名のつくものが非常に多いです。その関連団体に天下っている警察OBは一つの県で平均1000人と言われています。

パチンコ店の取り締まりを担当しているのは警察の生活安全課ですが、ここは末端の警官に大変人気のある部署だそうです。パチンコ店が警官をさまざまな手段で接待するからです。飲食や旅行、なかには現金を渡すパチンコ店もあるそうです。

警察庁の外郭団体に「保通協(財団法人保安電子通信技術協会)」という組織があります。パチンコ機・パチスロ機の検査をする組織です。最近は頻繁にパチンコ台が変わるので「保通協」には年間10億円もの検査料が入るそうです。2010年の時点でここの会長の吉野準氏は元警視総監、つまり警官のトップまで上りつめた人です。専務理事は元警察庁情報通信局長、常務理事は元福岡県警本部長です。取り締まる側がこれだけパチンコの恩恵にあずかっているのですから、厳しく取り締まれないのは当然でしょう。

パチンコを規制しようとする政治家はいないのですか?

 日本でもかつてパチンコを禁止しようという動きがありました。2009年3月、「名も無き市民の会」という市民団体が前衆議院議員西村眞吾氏と吉田泉議員を紹介議員として、パチンコの換金を禁止する法案を求める国会請願を出したのです。この活動の反響は大きく、1361名の署名が集まったそうです。確かに換金を禁止すれば、パチンコをやる人は激減するでしょう。換金できなければパチンコは昔の牧歌的な遊びに戻るか、壊滅するか、どちらかでしょう。

「国会請願」がすぐに立法化されることはほとんどないので、粘り強く運動を続けなければなりません。しかし国民が動いてパチンコを規制すべきだという空気を作り上げるのは大切なことです。ネットの書き込みにはパチンコを禁止すべきだという声が溢れています。政治家や官僚とは違って国民はまともな感覚を失っていないという証拠でしょう。

地方議員の中にもパチンコの有害性を認識している議員がいます。例えば大阪市議会議員の稲森豊氏や東京・荒川区議会議員の小坂英二氏などです。小坂氏は2010年7月29日「パチンコ違法化・大幅課税の地方議員と国民の会」を立ち上げました。会の趣旨はパチンコを禁止するか、禁止しないのなら大幅に増税すべきというものです。小坂議員のもとには全国の地方議員から賛同の声が寄せられたそうです。地方議員がこれだけ問題意識を持っているのに、国会議員がパチンコ業界を擁護しているという現状はあまりにも異常です。

参考文献:若宮健『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』(祥伝社新書)


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